県生協連からのお知らせ

2017年度 消費者フォーラムin千葉
「学んで つながり 行動しよう!~安心して暮らせる消費者社会~」

 5月23日(火)、千葉市文化センターアートホールにて「消費者フォーラムin千葉」が開催され、全体で287名、生協からも多くの組合員が参加しました。多様化する経済社会の中で消費者一人ひとりがより良い消費生活を送れるように消費者教育及び啓発の推進と、消費者団体の活動成果の発表を通して、団体相互の交流と連携を図ることを目的に、消費者庁が呼び掛けている消費者月間の千葉県における取り組みとして開催されたものです。今年度の消費者月間統一テーマは「行動しよう 消費者の未来へ」です。

 「消費者フォーラムin千葉」は、千葉県と県内17の消費者団体等で構成する実行委員会との共催で毎年開催されており、準備は2月からすすめてきました。実行委員会には、コープみらい、消費者行政充実ネットちば、NPO法人消費者市民サポートちば、千葉県生協連、千葉県消団連が参加して、他の実行委員団体と共に準備や当日の参加、運営に協力しました。

 始めに、千葉県から環境生活部生活安全・有害鳥獣部の玉田浩一部長と実行委員会委員長の消費者団体千葉県連絡会小田川事務局長が主催者あいさつをおこないました。小田川実行委員長のあいさつの要旨は以下のとおりです。

 「今年の消費者フォーラムは、実行委員会での活発な協議を重ねた結果、「学んで つながり 行動しよう!~安心して暮らせる消費者社会~」のテーマとなりました。

 千葉県は、4月に「消費者教育推進計画」を公表しました。この計画は、「消費者教育の推進に関する法律」に基づき、既に取り組んでいる「千葉県消費生活基本計画」の消費者教育について、高齢化や高度情報化、グローバル化の進展など、消費者を取り巻く社会経済環境の変化を踏まえ検証し、拡充または新たに取り組むべき事項を重点取組計画として整理しています。情報の提供や消費者教育とあわせて、地域ぐるみの関わりや見守り活動などのネットワークづくりが大切で、拠点づくりや人材育成、多様な主体との連携の環境づくりにも取り組むとしています。本日は、市民参加で悪徳商法を撃退している三重県伊賀市の取り組みをはじめ、県内の富里市の取り組みをご報告いただきますが、後を絶たない消費者被害を防ぐために、地域ぐるみで住民が、主体的に被害防止の取り組みや見守り活動をすすめていく仕組みを、皆さまとともに考えてみたいと思います。」

 消費者庁東出浩一審議官の挨拶のあと、消費者庁消費者支援功労者ベスト消費者サポーター章の表彰がありました。受賞者は、消費生活相談員の武田佳代子さんです。

 県の消費者行政について、千葉県環境生活部くらし安全推進課消費者安全推進室 二川健一郎室長が報告しました。

第1部 基調報告

市民参加で悪徳商法を撃退する ~誰もが安心して暮らせるまちづくり~

報告者:平井 俊圭 氏(三重県伊賀市社会福祉協議会業務執行理事)

 報告の要旨は以下のとおりです。(文責は事務局)

 伊賀市社会福祉協議会は、平成16年度の市町村合併当時、伊賀に消費生活センター(相談窓口)がなかったこと、社協は相談者本人の立場に立って相談にのれること、社協には多様な分野を横につなぐ機能があることなどから、消費者トラブルを防止するための対策に取り組むために「伊賀相談ネットワーク」を設立しました。平成17年度に「消費者トラブル対策検討委員会」を設立し、消費者トラブルの相談から解決までの支援や被害情報の共有等により、高齢者や障がい者の権利を護る取り組みを始めました。

 「いが悪徳バスターズ養成講座」を開催し、市民参加の対策チームの養成に取り組んできました。平成19年度に「劇団いが悪徳バスターズ」を結成し、寸劇やロールプレイによる啓発活動をいきいきサロンや養護学校などでおこないました。実際に被害にあった高齢者本人が劇団のメンバーに加わり救済する側になるなど、経験を活かして被害防止に取り組んでいます。平成28年度に社協に「地域福祉コーディネーター」を12名配置し、地域で困っている人を見つけ、対応策を検討します。消費者被害にあわないために断る言葉は『要りません』と『帰ってください』です。

 地域生活では、さまざまな問題が発生します。解決方法がない場合は、何が問題なのかを考え、あきらめずに支援者につなぐことが大事です。制度からはみ出る部分もあり、解決するしくみを創り出すことが必要です。人と人のつながりをつくり、住民がつながっている地域は悪徳商法業者が入りにくく、安全な地域をつくります。誰かに何かをしてもらうより、誰かの役に立つほうが喜びは大きく、幸福感や自己実現につながります。助け上手や助けられ上手の人を育てることは、福祉教育につながります。これからは、「福祉なまちづくり」社会全体を福祉のまちにしていくことを目指しています。

 最後に、ある認知症の高齢女性の手記を朗読され、相手のことを知る大切さについて語りかけられました。

基調報告:平井俊圭 氏

第2部 千葉県内における取組報告

富里市における取組~地域ぐるみでの消費者被害防止~

報告者:長谷川 敏彦 氏(富里市消費者行政推進連絡協議会)

 報告の要旨は以下のとおりです。(文責は事務局)

 富里市は、平成23年1月に県民提案事業として、消費者行政充実ネットちばと共催で「消費生活シンポジウムin富里」を開催しました。提言をもとに「消費者行政推進連絡協議会」を設立し、消費生活センターを中心に多様な関係団体が、地域の見守りと連携体制を築いています。そして、平成29年1月に「安心な消費生活のためのシンポジウムin富里Part2」を開催し、「被害防止のための見守りネットワークづくり」のために、連絡協議会委員の報告から、今後の課題が明確となり、「消費者被害の予防・救済のために、協議会の活用と見守り体制の構築が重要である」ことを確認し、シンポジウムの決議としました。見守り体制のイメージは、地域のゆるやかな見守り・協力・情報提供により、消費者被害の未然防止と回復が可能であると捉えています。消費生活センターでも、啓発活動の場の広がりや広報活動を継続していきます。

報告:長谷川敏彦 氏

第3部 平成28年度県民提案事業の事例発表

「食の“もったいない”を考える講演とワークショップ」

報告者:鈴木 典子 さん(生活協同組合コープみらい千葉県本部参加とネットワーク推進室企画・広報課長)

 コープみらいの食育「たべる、たいせつ」は、「安全・安心」「たのしさ・おいしさ」「リスクコミュニケーション」「健康」「世代間交流」「社会発信」の視点で取り組みを展開しています。平成28年度に実施した県民提案事業では、『食の“もったいない”を考える』講演とワークショップをおこないました。フードバンク活動の取り組みと「サルベージクッキング(家庭で余っている食材をおいしい料理に変身させる)」を学びました。

事例発表 左:「生活協同組合コープみらい」 右:「消費者行政充実ネットちば」)

「高齢者向けリコール製品回収事業」

報告者:前野 春枝 さん・佐藤 静江 さん(消費者行政充実ネットちば)

 生活の安全を確保するためには、リコール情報をキャッチし、リコール製品の回収を図ることが重要ですが、リコール制度が存在することや制度についての理解が進まないことで、リコール製品の回収も不十分で、防げる事故が防げていません。そこで、地域地域住民に制度についての理解を広め、地域ぐるみで製品安全に取り組むことの重要性の周知をすることを目的にリコールキャンペーンを実施しました。南房総市の和田地区と丸山地区で、ステッキや手押し車等の歩行補助器具や暖房機器など高齢者層を対象にアンケートをおこないました。アンケート結果では、リコール製品は0.8%(3件)でしたが、実際にリコール製品が存在し、被害防止になったことや、リコール制度に対する啓発効果、地域ぐるみで製品安全に取り組むことの重要性の周知につながりました。

 また、ロビーでは各消費者団体が食品ロスの問題や洗濯表示の変更、高齢者社会の問題などについての活動状況をまとめ、パネル展示しました。多くの参加者が関心を寄せて見入っていました。

パネル展示(左:コープみらい 右:消費者行政充実ネットちば)

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